2004年早稲田大学商学部の問題

昨日に引き続き、早稲田の過去問についての質問メールを紹介します。
最初に、この問題を解いてみてください。

下線部リ(編注:「神仏習合」を指す)に関連して述べた文として誤っているものはどれか。
1.神も仏により救われる衆生とされ、神社の境内に神宮寺がつくられた。
2.仏像にならい神像もつくられた。
3.神像は僧形であらわされ、奈良薬師寺の僧形八幡神像などはその例である。
4.本地垂迹説も生まれ、天照大神が本地で大日如来はその垂迹であるなどとされた。
5.神仏習合思想は日本人の神仏観を長く支配したが、明治維新政府はそれを否定しようとした。


<Eさん>
赤本を始めました。
はじめに早稲田商の2006年~2003年の大問1をそれぞれやりました。
そこで疑問点が出てきたのですみませんが解説お願いします。

「神も仏により救われる衆生とされ、神社の境内に神宮寺が作られた(2004年1-H)」

これが正文として出てたのですが、神仏習合の解釈は「仏が神として」だから基本「仏=神」だと思ったのですが、どうでしょうか。授業中にお話されてたらすいません。

あと、赤本の答えを丸呑みでまるつけ進めてだいじょうぶですか?

<石黒>
神仏習合は、神祇信仰と仏教の融合のことですが、
完全に「神=仏」というわけではありません。
だからこそ「仏が仮に神の姿となって現れた」という本地垂迹説が、
唱えられたわけです。
そして、冬期講習の文化史では説明しますが、
大日如来という仏が天照大神となって現れたと考えるため、
別の選択肢の
「本地垂迹説も生まれ,天照大神が本地で大日如来はその垂迹であるなどとされた。」
というのは誤文なわけです。
そして、この選択肢は正確な知識がなくても、
誤文とわからなければなりません。
なぜなら本地垂迹説では、
「仏がモトで、それが神となって現れた」と考えるのですから、
本地が大日如来だと気づかなければならないわけです。
これこそ、早稲田らしい問題です。
単語覚えで解くのではなく、
理解していれば推測で解けるタイプの問題なんですよ。

ちなみに、赤本の答え・解説は鵜呑みにするのはまずいです。
まれにですが解答が間違っていることもありますし、
ポイントのずれた解説となっていることはしばしばです。
しかし、受験生としてはとりあえずそれを読むしかないでしょう。
講習での生解説や校内模試の解説などを貴重に感じてください。