ときどき「貿易品って覚えなきゃだめなんですか?」と言う受験生がいますが、覚えないとどうなるのかがよくわかる質問がありました。
<Iさん>
こんにちは!早稲田予備校でお世話になっているIです。学習院大学の入試問題について、答えに迷ったことがあったのでメールさせていただきます。
[問題文]
…平安時代を通して、貴族社会ののなかで唐物への関心は続いており、この需要に応えるため、平安時代末期に力を持った平氏は中国との貿易に力を入れ、…。当時日本に輸入されたのは、(5)などであった。…
[(5)選択肢]
(イ)金、銭、陶磁器、薬品
(ロ)金、陶磁器、香料、薬品
(ハ)銭、陶磁器、香料、刀剣
(ニ)銭、陶磁器、香料、木材
(ホ)銭、陶磁器、香料、薬品
という問題で、まずイロハは輸出品の金と刀剣が入っているので消去して、薬品と木材で迷いました。薬品は長崎貿易ででてくるから違うような気がするし、かといってこの時代に木材を外国から輸入することが必要だったのかなぁ、日本にも生えてるしなあ、でももしかしたら日本に生えてない木が必要だったのかも、香料が輸入されているならそれを作るための植物の輸入があってもいいような気がする、でもそれいったら薬品も同じだよなあ、中国漢方薬とかすごそうだし、選択肢イロの中に薬品が書いてあるって考えると薬品な気もしてくるなあ、、、と思うと判別できなくなってしまって、自信を持って答えを出せませんでした。どのようにして答えを出すのでしょうか? 単純暗記問題だったのでしょうか? お忙しいところすみません。お返事お待ちしています。よろしくお願いします。
<石黒>
正解はホです。イ・ロ・ハの消去の仕方はバッチリです。のこったニ・ホですが、こういう場合は木材か薬品の一方が輸出品で、もう一方が輸入品のはずです。そうでなければ正解が一つになりません。そのうえで当時の日本と中国の関係を考えればわかるでしょう。つまり文化水準の低い日本からは、輸出できる加工品が少なく、原料品の輸出が主になりがちです。それに対して文化の進んだ中国からは、書籍や薬品のような高い知識水準によって生み出されるものを輸入したかったはずです。こういう国家間の関係はいつの時代でも同じなので、推測して解きましょう。
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