これも実に定番な質問なのですが、一番よく質問されるのは、河合塾の生徒からです。河合塾では、文化史をていねいに講義する時間がないためです。早稲田予備校では、週1回「史料・文化の日本史」という授業があり、それがないS.P.Sでも、夏期・冬期の講習には文化史の講座があるため、それでなんとか補えます。ところが河合塾の場合、僕が文化史の講座を担当することはありません。なぜかは僕もわかりません。オトナの事情かもしれません……。
さて、正直な話、入試に適切に対応して文化史を説明している、良い参考書に出会ったことがありません。そこで、僕自身が解説する映像教材を作ろうとしているところですが、「映像の質をもっと高めるべきだ」という声など、スタッフの間で意見が飛び交っていて、発売するかどうかの最終決定は来週になりそうです。要するに、あの時以上にオオゴトになっているのです。石黒本人としては、なんとしても作りあげたいと思っていますが……。
さて、その映像教材を使うかどうかは別として、通年の授業を受けている生徒は、文化史プリントを勉強すべきです。
〔勉 強 法〕
1 通常授業で重要ポイントをチェックする。
授業中、ときどき何もチェックしていない人を見かけますが、出題率の高さを意識しない勉強なんて、非効率きわまりないです。アンダーラインでもなんでも、必ず印をつけておくべきでしょう。
2 教科書の該当部分を読む。
プリントに書かれている単語の意味を理解しなければなりません。文化史の講義を受講している人なら、授業の説明を聞くだけでかまいません。そうでない人は、用語集で単語を調べる必要もあるでしょう。
3 仏像や絵画の写真が掲載されている資料集をながめる。
どれも写真を覚えていなければならないわけではありません。写真を見ながらの方が頭に残りやすいから、見るわけです。また、キャプションを読んだりすると理解が深まります。ちなみにプリントに写真を貼ったりするのは、頭に焼き付けるにはプラスなことですが、非常に時間がかかる作業なので、マイナス面も大きいです。
4 『日本史でるとこ攻略法』のゴロあわせを覚える。
理解をしたら、ゴロあわせで覚えられるところは、かたっぱしから覚えていってください。これは政治史を勉強する時となんら変わりありません。文化史の用語は単純暗記でセット覚えものが多いので、ゴロあわせはわりとたくさんあります。使いたおしてください。また、ここには過去の先輩たちが作ったゴロが出ています。
5 用語を書いたり声に出したりしながら暗記する。
彫刻作品の名前は、頻出ものを除けば、ほとんどは選択問題で出題されます。ということは、まず音声で記憶するのが手早いでしょう。一方、人名は記述形式で出題されて当然だと考えてください。漢字は正確に!
6 チェックペンを使って覚えたかをチェックする。
40面ノートとは違って、プリントの復元はほとんど必要ありません。紙で隠しながらチェックをかけていくのも良いでしょう。なかなか覚えられないところは、自分で替え歌を作っちゃった方が早いです。
7 『聴くだけ日本史−美術史編−』でチェックする。
40面ノートと違って、文化史プリントは用語の時代が頭に残りにくいです。このため、あらゆる作品・人物の時期をチェックするべきです。チェック方法はさまざまありますが、よかったら『聴くだけ日本史−美術史編−』を使ってみてください。今年の4月に購入された方で、もうすでに「文化・内閣ともにランダムモードでもほとんど答えられるようになりました。」という剛の者もいます。ちょっとすごすぎですね。それにしても、文化史だって歴史なんだから、もっと時期を意識すべきなんです。それができるようになると、入試での正解率もぐんと上がります。
腰の重い人へ。油断してると足もとをすくわれます。センター試験では、問題の4割以上が文化史だったということもあるのです。「文化史をやってなくて落ちた」というのは、これまた定番の不合格の理由です。
●追記
文化史学習の決定版『でる日講義−とことん文化史−』を、2005年9月に発売しました。予算に余裕があればどうぞ。