ハイレベルな問題の答えを導き出すプロセスは、入試に精通した人によって書かれた、丁寧な解説がついていないとなかなかわかりません。ましてや右も左もわからない受験生なら、ポイントを勘違いして当然です。僕から見れば「どうでもいい」と思える設問条件を、解答を導き出すポイントだと思っている人がよくいるのです。講師室で赤本などの質問を受けると、それがよくわかります。「日本史道場」や早慶大向けの講習では、そうした解答を導き出すプロセスをたくさん紹介します。暗記だけでは正解できないことを、そこで実感してください。
さて、今日はそんな正解の出し方についての質問を紹介します。
<Tさん>
こんにちは。河合塾藤沢で石黒先生を受講しているTです。昨日の授業は僕自身とても理解出来たので、凄く楽しかったし復元も順調です!(僕は前に座っていたので後ろの人たちがぼかーんとしていたのがわかりませんが…(笑)『あそこまで先生が言ってくださっているのに何で?』って感じでした。)
それはさておき、とりあえず復元→問題集→過去問とやっているんですが、どうしても早稲田の2005年度の教育学部の2の(2)の問題の解答へのアクセスを教えていただきたくて…。その問題を自分では、『とりあえずイとエは最初に消去して、残った選択肢3つで考えて、次にアは筑前=九州=防衛関係=女ではない!残りのウとオで悩んで、最後は勘でオ!』みたいな感じで解いたんですけど、戸籍のほとんどが女性ってコトは、偽籍の可能性かな…?なんて考えたらどこも消去出来ないなぁ~みたいな感じで考えたら考えるほど悩んでしまいました。そこで改めて石黒先生に解答へのアクセスを教えていただこうと思いまして質問しました。
あと問題集もやはり石黒先生が出版されているものが良いと思いまして、『日本史事始』を頼もうとしたのですが、ちょっと簡単なように思えたので、『難関大用語』の方にしようと思っているんですが、難関大用語を問題集の代わりに出来ますか?
文化史などは先生があれだけ言っている+過去問解いてたらやっぱりけっこうあったので、このままスルーするとヤバい!って気がついたので申し込みました。長文の質問スミマセン。
・早稲田教育学部2005年の2の(2)の解答へのアクセス
・難関大用語で問題集の代わりになるか
この2つが質問です。
<石黒>
T君が質問した問題は、たぶん2003年の早稲田大教育学部の第1問の問4だと思います。その問題は空欄Bを「延喜」と確定したところで、その戸籍が「902年の阿波国田上郷の戸籍」だと推測するのです。(中略)がポイントです。通年授業では扱いませんが、単科講座や講習などで扱います。『難関大用語集解』にも出ています。(中略)
そして、もう一つの質問ですが、『難関大用語集解』には確かに問題はついていますが、基本的に例題という感じで小問が並ぶだけですので、問題集の代わりにはなりません。また『日本史事始』は「オーソドックスな問題」と紹介していますが、実は答えに迷う問題も結構含まれています。しかもこの解説で触れていることは『難関大用語集解』には登場しません。すでに過去問の正解率が7割に達していれば、解く必要はないかもしれませんが、そうでない場合はまず『日本史事始』に取り組むべきかと思います。