最上層の人たち(2)

昨日の続きです。

<Sさん>
「要領」で片付ければそれまでかもしれませんが、自分を含めみんな、図説や詳説日本史研究に載ったかなり細部の知識を習得し、またそれでも分からない問題は推測や消去法で解きました。ただし、自惚れでなくこれも「要領」の差と片付けられたら、それまでだと感じます。そうですね。確かに私大受験者は多いですし、対策に関しても国立大より私大の方がとめどなく広がるため、独学ではやりにくいですね。また、語弊があったかもしれませんが、「見合ってない」というのは、そのデータベースは東大や一橋の対策に活かしたらより活きるのではないか、というニュアンスでした。(後略)

<石黒>
「要領」とだけお答えしたのは失礼だったかもしれませんね。
しかし、残念なことに私立文系を志望しているほとんどの受験生は、
「図説や詳説日本史研究に載ったかなり細部の知識を習得」
することはできないのです。
独学ならなおさらです。
決して批難しているわけでありませんが、
もしかしたらSさんのような優秀な人には、
レベルの低い受験生のことが理解できないのではないでしょうか?
まとめを自分で作るなんてことをしたら、
それだけで1年かかってしまう人がたくさんいるのです。
言いにくいことですが、文章読解能力の乏しい人もかなりいます。
そうした人たちでも早慶合格に導くのが、
予備校講師に期待されている仕事だと思っています。

それから「見合ってない」という意味は了解しました。
国公立大の場合、複数の学部入試を行う私大と違うため、
1年に大問が4つくらいしか出題されません。
このため傾向分析のためのデータが少なすぎるのです。
用語がよく出題される京都大ならまだしも、
東大などの論述問題中心の大学の場合はとくにそうです。
そのせいもあって他社から京大対策の教材は販売しています。
名前の出る仕事ではないため、サイトでは告知していませんが。

最後になりますが、
「たったこれだけの勉強で合格できるのに、
なんでそんなめんどくさい学習法なんだ?」
というような「煽り」メールが時々届きます。
しかし、顔も見えないネット上でのやりとりですから、
はっきりとした証拠がないと到底鵜呑みにはできません。
Sさんはそのような方ではなさそうですが、
上記のような事情があることをお察しいただければ幸いです。

<Sさん>
貴殿の指導方法は大変尊敬しております。おっしゃられる通り、独学では難しい受験生を合格に導くのが予備校講師の仕事であると感じました。自分が独学を選択したのは、「聞く」という行為がどうしても受動的になりがちで、好きでなかったからなのですが、貴殿の授業なら楽しくかつ効率的に拝聴できたのではないか、と感じております。そして、いわゆる「できない」受験生の気持ちも分からないわけではない、とわたし自身は感じています。自分自身も決して「できる」方ではなくて、必死に努力をして合格できたからです。しかし、「できない」受験生の中には「できない」ことに対して諦めたり、「●●の授業受けてるから大丈夫」と割り切ったり、受け身のままの受験生もいるのは事実だと思ました。それを変えるために自分も家庭教師を始めたいと考えています。到底貴殿には及びませんが。また私立大学と国立大学の違いについても、了解いたしました。一橋対策の論述問題集がもし出ることになったら、ぜひ拝見させていただきます。(後略)

ストライクど真ん中の狙いを外さずに、
独力で物事を進めていける人というのはすごいですね。
それほどの能力があるなら、大学受験のためなどではなく、
できれば日本経済をリードする仕事で使ってもらいたいものです。