相変わらず入力作業が続いています。
それにしても入試問題に向かうたびに思います。
単純暗記なんかじゃ解けないじゃないか! と。
でも、もしかしたら学習深度が浅い人は、
そのことに気づかないかもしれませんね。
要するに間違えたことを単に、
「覚えていなかったから」と勘違いしてしまうのです。
他にも消去法で解けることに気づかないとか、
時期違いでダミーの選択肢が消せることに気づかないとか……、
いくらでも勘違いがおこっていそうです。
その中でもサイアクな勘違いは、
他人がどのくらい正解しているか、です。
過去問なら「8割取れてあたりまえ」と考えてください。
先日は、ある現役生が早稲田政経の問題を持ってやって来ました。
彼は既習範囲で1問ミスの正解率96%でしたよ。
この時期に過去問を解いてないというのは論外ですが、
自分に甘い人はまだまだたくさんいるような気がします。
前述の早稲田政経で言うなら、
AO入試に過度な期待をして、
一般入試対策を怠っている人はいませんか?
単なる「逃げ」になってるんじゃないでしょうか……?
早稲田の商学部の9月入試で受かる人や、
政治経済学部のAO入試で受かる人って、
実は一般入試対策も相当できている人なのです。
過去にそうした人が何人もいました。
そういうデキル人だからこそ、
大学側も早く採ってしまうってことだと思います。
さて、今日は過去問を解いた人からの質問を紹介します。
<Kさん>
お忙しい中すみません。赤本を解いていて2つ疑問があったので質問させていただきます。まず2008年の中央大学経済学部のI〔A〕問1の問題です。鎌倉時代の農業に関する文章が書かれており、空欄に当てはまるもっとも適切な語句を入れなさい、というものです。
・・・また、[3]の生産も拡大し、楮・藍・荏胡麻などが栽培され、これらをもとに紙・染料・油なども生産したり、絹布や麻布を織ったりした。
私は[3]に「商品作物」が入ると思ったのですが、解答には「原料作物」となっていました。もし「商品作物」と書いた場合、正解にはならないのでしょうか?
次に2007年の明治大学政治経済学部の〔1〕設問5の問題です。
設問5 史料Aは、江戸末期の志士たちの歴史意識・尊王思想の形成に多大な影響を与えたことでも知られる『日本政記』の一節である。その筆者は誰か、漢字で書きなさい。
答:頼山陽
私は『日本政記』の筆者が分からなかったので、この設問を解くには「尊王思想の形成」がキーワードだと思い、答えは尊王論を唱えた人だとは思ったのですが、文化史の覚えが足りず、頼山陽の名前が出てきませんでした。なので丸を付け終わった後に文化史プリントの24ページの(2)尊王論を見たのですが、頼山陽の説明として「三樹三郎の父 「日本外史」」と書いてありました。そこで質問なのですが、この問題はどのように考えて答えを出したらいいのでしょうか?安政の大獄で死罪になった頼三樹三郎を江戸末期の志士と考えて、その父、山陽の思想を子供も継ぐ、と想像して解くのかな、と私なりに考えてみたのですが、何だか考え方が違っているような気がします。大変お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。
<石黒>
まず一つめの「原料作物」ですが、
三省堂や東京書籍の教科書に出てくる用語です。
確かに自分の家で使う分には商品になりませんから、
商品作物ではなく「原料作物」とすべきでしょう。
この問題文は「これらをもとに……生産したり」とあるので、
商品として販売するのではなく、
自家生産すなわち農村家内工業で使う場合を
言っているように読めます。
ただし、原料作物という用語はめったに出題されないため、
授業では一度も紹介したことがありません。
逆に商品作物という言葉は問われます。
実際これらの作物は商品として販売されることもありましたし。
次に『日本政記』ですが、
これは記述問題なのでもうどうしようもありません。
尊王論者は何人もいるわけですから、
単に『日本政記』を覚えているかどうかの話です。
選択問題なら絞り込むこともできるかもしれませんが、
今回はどうにもなりません。
大変出題頻度が低い単語なので、完全に無視していいでしょう。
受験生はとかく難しい用語に目がいきがちですが、
他にもっと間違えた問題があるのではないでしょうか?
それらを正解することに全力を注いでください。