先日、早稲田の過去問について質問をいただきました。
もしその問題を解いてから話の続きを読みたいという方は、まずこの問題を解いてみてください。
問 第一次世界大戦に関連する次の記述のうち,不適切なものはどれか。2つ選べ。
イ 日本は三国協商(連合国)側,イタリアは三国同盟側に立ってそれぞれ参戦した。
ロ 日露戦争後,日本は,貿易赤字と財政赤字に苦しんでいたが,戦時景気により危機を脱し,輸出も激増して,債務国から債権国に転じた。
ハ 第一次世界大戦中,石井・ランシング協定が締結され,日米間で,中国の領土保全・門戸開放と中国における日本の特殊権益の承認を確認し合った。
ニ 第2次大隈重信内閣は,西原亀三を北京に派遣し,北方軍閥の段祺瑞政権に巨額の借款を与えた。
ホ 日本は,輸送船護衛のために,地中海に艦隊を派遣した。
<Iさん>
でるとこ教材を使っている者ですがわからないところがあったので質問させていただきます。
2011年早稲田の社会科学で「第一次世界大戦の記述で不適切なものはどれか」という問題で イ 日本は三国協商(連合国)側、イタリアは三国同盟側に立ってそれぞれ参戦した これが正解となっていました。もちろん後にイタリアが三国協商側につくのはわかっているのですが、「参戦した」つまり最初は三国同盟側にいたのは間違っていないのではないでしょうか?
<石黒>
まず、これは日本史の問題としては難問と考えてかまいません。
実は、ドイツがロシアに宣戦布告をおこなった1914年8月2日に、イタリアは中立を表明したのです。そしてイギリス・フランスに接近し、翌1915年には三国同盟を放棄して連合国側に立って参戦しました。つまりイタリアは、三国同盟側に立って「参戦」したことはないのです。ここまで細かい内容は他の問題で見たことがないため、『でる日講義-つながる近現代-』ではごく簡単に説明しました。
この問題ではロ・ハを正文、ニを誤文と見破ることまではできるのですが、ホを正文と言い切れないでしょうからどうにも正解できません。いっぽう大問として考えると、問2・4は難問としてあきらめ、他の小問で正解してください。問5もやや難しいですね。2問ミスにとどめられれば十分でしょう。
ところで早稲田大学というと女性史の出題が気になります。それゆえ derutoko.com では『でる日講義-アラカルト-』の中で女性史を講義しています。このあいだの土曜日、そのサンプルムービーを見た男子が「あのおかげで早慶オープンのコレラの問題が解けました」と教えてくれました。なんとそれはオイシイ体験をしましたね。解説には「難問」とあったらしく、たいそう喜んでいました。本番でそういう体験ができるといいですね。ちなみにこの教材は、頻出テーマの沖縄・北海道・女性史の講義と、地図・グラフ問題を直前期に総ざらえするものです。早稲田や上智大の志望者で過去問を解いたことがある人には、その重要性がよくわかりますよね? このうち河合塾の冬期講習「総合日本史演習(発展)」では沖縄・北海道史のみ講義します。女性史は講義はせずプリント配布のみとなりますので、あしからずご了承ください。