『幕末は「論争」でわかる』執筆秘話(3)

『マンガ 幕末は「論争」でわかる』(メディアファクトリー新書)、前回は1話をお読みいただきましたが、今回は前書きの一部を紹介します。

「漫画なら一目瞭然! 幕末の論争」

 衝撃の黒船来航から、わずか14年半で江戸幕府は滅亡しました。幕府が約260年も続いてきたことを思うと、その急速な崩れ去り方には興味が湧きます。しかし、短期間で滅んだからといって、その過程が単純だったわけではありません。むしろその逆です。そもそも幕府の滅亡は外国の攻撃によるものではなく、薩摩藩と長州藩という、国内に現れた敵のせいでした。この2藩はもともと対立する関係でしたから、それがどうして手を結ぶことになったのか、その過程がまず複雑です。(中略)このように各勢力の動きが一貫せず、何かあるたびに移り変わっていくところが「幕末はわかりにくい」と言われるゆえんです。(中略)
 幕末ほど、様々な勢力がぶつかりあって新しい日本を生み出していった時代は他にありません。誰と誰がどう衝突したのかは、文章や講義では理解しづらいでしょう。それは執筆者や講師が、一人二役状態で説明しているからです。しかし、漫画になればややこしい対立構造も一目瞭然です。対立する二つの勢力が、両方同時に目に入ってくる。しかも、小難しい文章よりもはるかに記憶に残る。これはビジュアルの圧倒的な強みです。
 (中略)ありがたいことに、幕末は手紙や日記の形で多くの史料が残されています。それらの史料を読み解いた研究者の方々による著書も、多数あります。こうした理由からこの本は、漫画ではあっても伝説めいた話を省き、できるだけ史実にのっとった内容になっています。
 さあ、本当の幕末をその目で見てみませんか? 思わぬ事実に驚くはずです。

この週末、ぜひ書店にお立ち寄りください!

マンガ 幕末は「論争」でわかる

関連記事