受験に役立つ脳科学(5)

今回は、脳科学の専門のかたではなく、経済学者野口悠紀雄先生のアドバイスを紹介します。
野口先生は『「超」整理法』というベストセラーが有名ですが(読んでません)、その後「超」シリーズをたくさん書かれていました。その一つに『「超」勉強法』という本があります。これは著者の体験をベースにしている部分も大きいので、決してそのまま利用できるわけではありませんが、膝ポンな勉強法が紹介されています。

その一つに、「全体から理解する」というのがありました。
「部分の積み上げで全体を理解するのではなく、全体を把握して部分を理解せよ」と言うのです。最近は、この点を意識して授業を展開していることが多いですが、ノート復元の際にも大雑把な復元から入るのが良いのです。

それから、「八割できたら、つぎの仕事にかかれ」というのもありました。「基礎にいつまでも拘泥するな。先に進め」と言うのですが、ノート復元で言えば、完璧な復元までいたらずとも、次の面に進むべきということです。几帳面な人はついつい完全さにこだわってしまって、足踏みしてしまいがちです。2割くらい放っておいても、それが細かいところだったら、次の範囲の学習にさしつかえありません。2度目、3度目の復習の際に埋めていけば良いのです。

そして「もしかしたらこんな受験生がいるのかもしれないなあ」と不安になったのは、「ながら勉強」をする人の話です。テレビやラジオ(今どきいるのかな?)をつけながら勉強することです。いや、日本語の歌詞のある曲を聴きながらというのも危険ですね。野口先生は、次のように書いています。

勉強には集中が必要だ。なぜか。それは、人間のワーキング・メモリには厳しい容量の制限があり、多数の案件を同時処理できないからである。これは、実験心理学や大脳生理学で明らかにされている。第五章で、記憶に刷り込むには、対象に注意を向ける必要があるといった。同じことが、すべての学習についていえる。対象に注意を集中しなければ、勉強したことにはならない。
このために、余計な刺激をワーキング・メモリに入れないようにする。虫の鳴き声のように無意味な刺激は、仕事や勉強に熱中すれば、聞こえなくなる。つまり、そちらがワーキング・メモリから追い出される。しかし、テレビ番組のように意味がある刺激は、なかなか追い出せない。それどころか、そちらにメモリを占拠されてしまう。
だから、「ながら勉強」は、避けるべきだ。とくによくないのは、テレビである。意識的に消さないと、つけっぱなしになってしまう。現代っ子は、幼い頃からの習慣で、テレビを見ることが無意識の癖になっている。

これは脳科学を勉強して納得したのですが、意識的に見ようとしていなくても、視界に入っていれば脳は認識してしまうし、意識的に聴こうとしなくても耳から情報は入ってきてしまいます。電車の中で他人が話してる内容って、聴こうとしなくても耳に入ってきてしまいませんか? 本を読んでいるときには非常に邪魔です。僕はすぐさま iPod で耳をふさぎますけどね。でも歌詞があるとこれまた邪魔になります。だから聴くのはクラシックか、20年以上も聴き続けて歌詞が気にならなくなった邦楽です。

日本史の勉強時間は短いにこしたことはありません。どうせやるなら効率の良い方法にしてみませんか?

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