受験に役立つ脳科学(4)

児玉光雄先生の『上達の技術 一直線にうまくなるための極意』のなかに、「記憶するときはあらゆる感覚器官を動員する」というアドバイスがありました。

感覚器官というと「五感」がありますね。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の5つです。しかし、ほかにも「圧覚」「痛覚」「温度感覚」「運動感覚」「平衡感覚」「臓器感覚」があって、これらの感覚器官をできるだけたくさん動員して記憶すると良いそうなのです。英単語を覚えるときも、「単語を見て」(視覚)、「自分の手で書いて」(触覚、運動感覚)、「発音してその声を自分の耳で聴く」(聴覚)べきだと言うのです。

頭の中で記憶するだけでなく、身体を動かして記憶するのも有効だと書かれていました。そういえば、仏像彫刻の名前を覚える際に同じポーズをして覚えるという人がいましたね。

さて、この聴覚を利用することについて、医学博士の築山節先生は『脳が冴える15の習慣—記憶・集中・思考力を高める』のなかで、こう書いています。

音読が脳に良いというのは、最近よく言われていることですが、これは目と口の運動であるだけでなく、脳の入力→情報処理→出力という要素が連続的に含まれているからです。目で文字面を追っているだけでは理解していないこともありますが、スラスラと音読するためには、ある程度内容が理解できていなければいけません。そこに確実な脳の情報処理があります。しかも、それと同時に声に出すという出力もある。
朝のうちにこの連絡をスムーズにしておくことは、目や耳で捉えた情報をパッと理解したり、考えたことをスラスラと話したり、文章化したりすることに良い影響を与えます。スポーツにたとえて言えば、簡単な連係プレイの練習もしておくといったところでしょうか。
特に、会話の少ない環境にいる方は、ぜひ音読を習慣に採り入れてみて下さい。ただ読むだけでなく、人に聞かせるつもりで読むともっといいでしょう。

京都大教授の鎌田浩毅先生も『一生モノの勉強法—京大理系人気教授の戦略とノウハウ』で、声に出してテキストを読むことを勧めています。

まずはテキストを通読して、自分がまだ「覚えていないこと」をぐっと絞り込みます。そのうえで新しい情報を記憶する際には、まず黙読しながらテキストの内容を頭に定着させます。次に、テキストを声に出して読みます。意外と知られていませんが、自分が出した声を聴きながら耳で覚えるのが、生理学的にも最も効果的な記憶法なのです。英語でも、ヒアリングのテープを繰り返し聴くことで、フレーズを体得できます。

何をどうしゃべるのかは、人それぞれです。重要単語だけを発声するとか、参考書や教科書の文章を読み上げるとか、ノートに書かれている内容を説明するとか……。いずれにしても、時間をムダに使いすぎないように気を配りながら、取り組んでみてほしい学習法です。

明日は、そのしゃべり勉強を実践していた早稲田合格者からのアドバイスを紹介します。

 

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