近現代の予習は、去年のおさらいで大丈夫ですか?

開国後のおよそ150年間を近現代と言います。150という数字だけ見ると短く思えるのですが、政治・外交・経済・文化が複雑にからみあう大変密度の濃い時代となっています。一度授業を聴くだけでは、難関大の入試に通用するレベルの理解に達しないことも多々あります。このため夏期講習で近現代の講座を受講することをお勧めしているのですが、他の講座と日程が重複する方には、映像教材『でる日講義−つながる近現代−』で受講する道もあります。これならわかりにくいところを何度も見られるという利点があります。

ところで、その近現代についてだいぶ前に質問をいただいていました。

<Hさん>
初めまして、ワセヨビで授業を受けているHです。去年、日本史で受験をしました!なので一通り日本史は勉強しています。今、授業では7世紀頃をやっているのですが、近現代をやるのは2学期頃になりますよね?近現代を授業でやるまで、もし何もやらなかったら近現代を忘れてしまうので、今の時期に、今授業でやってる範囲の勉強と、予習(というか去年の復習?)をやろうと思うのですが…どんな風にやったらいいのでしょうか?問題集を解いたりでいいんでしょうか?それとも予習は必要ないですか?(さすがにやらないのはまずいかな…と思ってるのですが)忙しいなか申し訳ないのですが、よろしくお願いします。

<石黒>
近現代を昨年の知識で予習する場合に心配なことがあります。それは「正しい理解なのか?」という点です。たとえば今おこなわれている授業で「自分が理解していたことと違ってた!」とか「そんなことがポイントだったのか!」とか、さらには「この用語とあの用語で迷った時は、そこで見分けるのか!」などと思ったことはありませんか? もしあったら、去年の教材を利用して記憶を上塗りするのは危険な面もあるのです。その理解のままで問題集を解くのはさらに悪影響を及ぼすでしょう。しかも近現代は考えて解く問題が多いですから、通年授業で頭を鍛えてから解いた方が、問題演習の効果が大きいのです。

というわけで、どうしても急ぎたいなら『読むだけ日本史(2)』『でる日講義−つながる近現代−』をお勧めします。確かにすでに『でる日講義−つながる近現代−』で予習しているワセヨビ生もいますから。いずれにせよ1学期の段階では英語に相当力を注ぐべきだと思います。

すでにどこかで日本史を学習したことがあると、「自分は知ってる」という過信のせいで、授業内容を100%吸収する気にならない落とし穴があるのです。鎌倉時代から簡単な例をあげてみましょう。

「文永の役の後に異国警固番役が……」と聴くと、「ハイハイ、防衛のための役職を設置したんでしょ?」などと早合点する人はいませんか?
異国警固番役は役職ではありませんよ? さらに早慶レベルなら、文永の役の「後」と単純にとらえるのもどうか……です。そして、番役を負担したのが誰でしょう?
こうしたポイントを聴き逃さないためには、それなりに予習はするものの、「授業で理解しきろう!」という姿勢が大切です。せっかく授業料を払っているのですから、貪欲に授業内容を吸い取ってください。