ちょうど去年の今頃、ある大学に入試問題の作成について、
お話しに伺いました。
いや、勝手に押しかけたんじゃないですよ?
仕事として依頼されての訪問です。
そしてまた、今年も行ってきました。
最近の私大では、学部が新設されたり、
「全学部日程試験」や3月入試が導入されたりして、
作らなければならない入試問題が増えています。
しかも作問ミスが発生すると、被害を受けた受験生に、
多額のお金を払わなければならないことがあります。
たとえ大学の先生といえども、
日本史の問題を作るのに慣れていない人はいるわけです。
国語の問題なら作れる先生は多いでしょうが、
理科や社会の問題となると、作問者は限られてしまうのですよ。
実際、各大学の入試問題を見ていると、明らかに、
「これは新人さんが作っちゃったな」と思える問題に出会います。
最新の2010年入試で言えば、
たとえば明治大学全学部日程の問題がそうでした。
とても明治大の問題とは思えないようなカンタン問題が並んでいて、
「これじゃあ低レベルの学生が集まっちゃうよ?」
って思ったのです。
大学の先生方のなかには、
受験生の学習レベルがわからない人もいるのでしょう。
そもそも高校日本史の内容などには興味のない人が多い気がします。
専門分野の研究に熱心なことの裏返しかもしれません。
しかし、本来入試というのは、
来てほしい学生とそうでない学生をふるいにかけるもののはずです。
易しすぎると誰でも正解できてしまう反面、
難しすぎると誰もが不正解……?
いや、選択問題だと運のいい人は正解してしまいます。
2010年入試なら慶應大法学部がそんな問題を出しています。
大学の先生方には面倒でも、
丁寧な作問を心がけてもらいたいものです。
さて、先日いただいた白村江の戦いに関する質問を紹介します。
<Xさん>
(前略)早稲田予備校東京本校、浪人生クラスでお世話になっている、Xです。ふと疑問に感じた事があったので、質問させていただきます。もし、授業で聞きもらしということだったら申し訳ありません。4番ページの白村江の戦いについてなのですが、中大兄皇子政権は百済660年に滅亡したのに663年、その3年後に出兵した(朝鮮での土地を確保するために)という事なんでしょうか?もしそうなら、正誤問題などで援軍という言葉があったら間違いなのでしょうか?
<石黒>
授業では説明しませんでした。
確かに3年も間が空いているので、
不思議に感じるところだと思います。
660年に百済の王室は滅んだのですが、
それを再興するために日本は661年から663年にかけて派兵し、
決定的な戦いがあったのが663年だったということです。
もちろん、こんな細かいことは覚える必要ありません。
正誤問題としては「援軍」で正文です。
<Xさん>
お返事ありがとうございました!去年一年間、東京本校近くの一橋学院で学び、4月から早稲田予備校に通い、初めて石黒先生の授業を受けていますが、去年学んだ断片的だった知識をノートにまとめる事で繋がりを持ちました!僕は早稲田大学商学部を志望しています。これから一年間、よろしくお願いします。頑張って授業に食らいついていきます!そして、明日のアチーブがんばります!
ふと気になって、
このブログの最初のエントリーをクリックしてみたら、
ちょうど5年前の今日の記事でした。
よくもまあ、これだけ書いたものです。
自分で苦笑してしまいました。