目先の用語に翻弄されるモッタイナイ人たち

今年の明治大経営学部で出題された問題を紹介します。
考えてみてください。
1問目は財閥解体についての問題です。

大問III
問2 下線部(イ)に関して、この「第一次指定」で持株会社として指定された企業名として、正しいものを下記の中から1つ選び、その記号をマークしなさい。
A 株式会社日産  B 渋沢同族株式会社  C 三菱商事株式会社
D 株式会社浅野本社  E 株式会社三井本社

問9 下線部(ク)に関して、この1978年に社長会である三金会が結成された企業集団の名称と、その企業集団に含まれる企業名の組み合わせとして正しいものを選び、その記号をマークしなさい。
A 住友グループ・日本電気  B 三和グループ・三和銀行
C 芙蓉グループ・富士銀行  D 第一勧銀グループ・清水建設
E 三菱グループ・日本郵船


解答は、
問2 E
問9 D です。
言うまでもなく、超難問です。
これ、どういう意図で出題したんでしょうね?
早慶レベルの受験生に満点を取らせたくないと考えたのか、
それとも自分の専門知識の中から、
「ちょっと難しい問題を出してやろう」
と安易に思っただけなのか……。
しかし、実際にこれを間違えて不合格になった受験生の中には、
「こんな問題も解けなきゃいけないんだ……」
と誤解して、焦ってしまっている人がいそうです。

実は先日、こんなことがありました。
青山学院大総合文化政策学部のぶっ飛んだ問題について、
試験直後にブログで記事にしたのを覚えているでしょうか?
あの入試を実際に受験した人が、
「隣の人が、その辺の解答を書いてたのを試験後に見たんですよ!」
とびびっていたのです。
しかし落ち着いて考えてみれば、
本当にそんな難問を正解できるような人は、
青学を第一志望としていて入学するような人ではなく、
早慶などのもっと上の大学に入ってしまう人ではないでしょうか?
しつこく言いますが、
今までに僕が見た万を超える入試問題の中に、
そんな問題は存在しないのですよ。
それって正解すべき問題じゃありませんよね?
だって、過去20年のおもな入試問題で2回以上出題された内容ですら、
すべて覚えることは到底できない量なんですから。
複数回出されている内容をマスターしていないのに、
特異な用語に目がいってしまうのは、
体系的に勉強していない証拠です。
そんなマイナー用語に時間を割ける人は、相当英語ができる人です。
そんな人は、まず、いないでしょう。
バリバリ仕事をしている社会人から見たら、
優先順位を考えずにコトにあたるなんて、ありえません。
オトナ社会でどうでもいい仕事に時間をかけていたら、
上司からどやされますよ。
先日ライブの打ち上げで会った、一部上場企業の部長であるA君も、
「ひとり辞めてもらった。自主退社の形にもってかせて、だけど。」
と、オソロシイことを言ってました。

1千万分の1の確率でしか当たらない宝くじを夢見る人には
理解してもらえない話かもしれません。
いや、宝くじは損するのは自分だけなのでまだいいのですが、
大勢の人に受験日本史を教えるのに、
出題率を無視することなど、許されないのではないでしょうか。
中学や高校の数学の先生には、確率の単元で、
もう少し人生に役立つ合理的な思考をご指導願いたいものです。
数学は人生にとって、実に役立つ教科だと思います。