中央大ちょっとだけ解答速報

中央大法学部の問題で質問がありました。

<Aさん>
こんばんは。河合塾で通年授業をとらせて頂いていたAという者です。今日行われた中央大学法学部の問題で分からなかった箇所があったので質問させて下さい。
III問3下線部(2)(産業革命が1880年代にはじまり,日清戦争後に日本の資本主義は本格的に成立するにいたった。)に関して述べた次の説明文について,誤っているものを次の中から一つ選び,その記号をマークしなさい。誤っているものがないときは,該当なしのeの記号をマークしなさい。
a紡績業では,渋沢栄一が設立した大阪紡績会社の成功に刺激されて紡績会社の設立があいつぎ,紡績業は重要な輸出産業となった。
b綿織物業では,豊田佐吉が発明した国産力織機が多くの工場で使用され,生産が増大した。
c鉄道事業では,民間鉄道の設立がさかんとなり,官営の東海道線が全通したころには,民営鉄道の営業距離が官営鉄道を上回った。
d鉄鋼業では,日清戦争の賠償金を資金に官営の八幡製鉄所が建設され,筑豊炭田の石炭と大冶鉱山の鉄鉱石を原料に操業を開始した。
e該当なし
まずaは、製糸業に比べたら重要とは言えないと思いました。bは多くの工場で使用されたかは微妙に自信がなかったのですが正文と判断しました。dは鉄鋼業じゃなくて製鉄?と一瞬悩みましたが、わざわざ八幡製鉄所と書いているし、鉄鋼と製鉄を同じと見なしてOKかなと判断して、正文としました。最後にcなのですが、東海道線が全通が1889年で東京・神戸間ということ、日本鉄道会社が1891年に上野・青森だとすると民営鉄道が距離を上回っていたというのは誤りなのではないかと思いaよりも傷が深そうなcを選びました。今回は該当なしがあったので迷ってしまいました。先生もお忙しいと思いますが、お返事お待ちしています。

<石黒>
正解はeです。
aは「最重要」と言っているわけではないし、
1899年の貿易品の円グラフを見ればわかるように、
綿糸は輸出品の第2位となっていますから。
一方cはなかなかおもしろいことを考えましたね。
でも1891年の話は、
あくまでも日本鉄道会社の上野・青森間が全通した年です。
当然、会社が設立された1881年から少しずつ建設していただろうし、
他にも多数の私鉄会社は存在しただろう、とも推測したいです。
後は「民営鉄道の営業距離が官営鉄道を上回った」
とよく言われることを知っていたり、
上野・青森間の全通の年代は覚える必要がないほど、
出題率が低いことを知っていれば、解きやすかったですね。
授業や講習でその年代は「出ないよ」と言っていました。
残念ながら今回は、中途半端に詳しく知っていたことが、
アダとなってしまったようです。
ちなみに、民営鉄道と官営鉄道の距離の比較は、
浜島書店の資料集などにグラフが出ていてわかります。
ちょうど1889年に民営鉄道の方が上回っています。