単純暗記では解けない問題(2)

昨日の問題の解説です。
まだ、昨日のエントリーをお読みでない人は、
そちらに問題がありますので、先に読むことをお勧めします。


この問題、史料自体はどうでもいいんですよ。
設問文の「785年」という時期を頼りに選択肢を一つ一つ吟味して、
消去法で正解を導き出す問題でした。
「785(延暦四)年に出された官符」ということは、
大宝律令よりも養老律令よりも後に出された法令ということです。
選択肢を見ていきましょう。
アの令集解は、編纂年代は知らなくてもかまわないのですが、
大宝令や養老令の注釈を集めたものだということは、
知っていなければなりません。
ということは解答にはなりませんよね?
イの養老律令はもちろん違いますね。
ウの類聚三代格は弘仁格・貞観格・延喜格を、
内容別に分類して編集した法令集です。
格というのは追加法令のことですから、
これは正解の可能性がありますね。
エの延喜格式はどうでしょう?
これは醍醐天皇が作らせたものですから
「785年」よりはだいぶ後です。
しかし、ここに収められているというのはおかしいですね。
なぜなら、延喜格式よりも前に、嵯峨天皇時代に弘仁格式が、
清和天皇時代に貞観格式が編纂されているからです。
時代を考えればすでに弘仁格式に収められているとわかります。
オの日本三代実録は醍醐天皇時代に編纂された正史で、
六国史の最後となったものです。

というわけでウ以外は消去することができました。
正解はウです。