『でる日講義−つながる近現代−』はゆっくり講義?

早稲田予備校のカリキュラムは僕の提案で作られているので、
授業内容はもちろん、教材や時間も思い通りの形にできています。
一方、河合塾のカリキュラムにはまったく関わっていないので、
さまざまな制約の中で講義をしています。
たとえば、文化史や史料の講義ができません。
でもこれは自分が講座を担当しない以上、
どうにもならないことなのであきらめています。
いや、映像教材『でる日講義−とことん文化史−』や、
音声CDによる解説付きの『どこでも史料問題』で、
それぞれフォローしているつもりです。
ただ、時間の制約だけはいつも辛い思いをしています。
通年授業の総時間数が150分×24週なのです。
高卒生に180分×24週があたえられていることと比較すると、
その短さがわかるかと思います。
高卒生にはさらに演習授業が90分×24週もありますし。
しかし、その時間に比例して情報量を減らすのはまずいでしょう。
実は通年授業にかぎらず、基本的に河合塾の講座は、
短い時間にたくさんの情報を講義せざるを得ない設定になっています。
いつも「他の先生方はどう対応されているのだろう?」
と不思議に感じているほどです。
情報量を減らしているのでしょうか……?
いや、僕の講義の効率が悪いのかもしれませんね。

そんなわけで河合塾では、早口かつ高速板書の講義になっています。
そのせいか、こんなメールをいただきました。

<Sさん>
こんにちは。藤沢で通年授業を受けているSと申します。昨日講習が終わり、「つな近」を始めたのですが、教材では説明がゆっくり過ぎると思い、1.5倍速にすると、いつもと同じ感じでした。そこで質問なんですが、このまま倍速で再生するべきでしょうか?それともするべきではないんでしょうか?

<石黒>
それはすごいですね。
もしかして学校で近現代を履修済みなのでしょうか。
河合の高速授業に慣れてしまったのかもしれませんね。
一応、講義を聴きながらノートが書けるなら、
1.5倍速でもかまわないと思います。
ただし、近現代は前近代とくらべて内容理解が非常に大切なので、
受講後にノートを見ながら、
ある程度説明ができるくらいでないといけません。

僕自身も映像を見直すことがあるのですが、
確かに2度目、3度目と見直す時には
1.5倍速でも聴けるかと思います。
しかし、最初からその速度で理解できるとすればすごいですね。
言うまでもなく、余談なんてしてないですから、
講義内容を100%吸い取るのはかなり大変なはずです。
なにしろ、僕自身が見ても、
「よくここまでしゃべってるよなあ」とつぶやいてしまうほどです。
先日もスタッフに、
「それ、ジブンじゃないですか」と突っ込まれたばかりです。
予備校での生授業では、吸収していない生徒が目立つと、
講義を中断して注意しますが、映像教材ではそれができません。
『でる日講義−つながる近現代−』をご覧になっている方は、
くれぐれも、吸い取りレベルを下げないように願います。
もっともそうした心配は制作当初からあったので、
演習問題をばっちりつけておきました。
講義の最後の正誤問題でも、自分の理解度を測ってくださいね。