試験結果をきちんと分析しよう

「模試の解説ってまとめるべきですか?」という質問が時々あります。40面ノートを使っている人なら、まったくその必要はないわけですが、そうでない人の場合は、自分が覚えるモトとなるまとめに、間違えた部分や解説で補われている内容を、書き足すのがよいでしょう。しかし、それよりももっとやるべきことがあります。

自分がなぜ問題が解けなかったのかを分析する

ことです。いわゆるアタマのいい人にとっては、そんなことあたりまえなんですが、受験生の中にはこれをやらない人が大勢いるみたいです。大げさなたとえですが、バレーボールがうまくなりたい人が、「自分はボールの扱いが下手だから」と言って、ドリブルの練習をやっちゃってるって感じです。「レシーブとトスの練習しろよ」ってことです。これはもしかしたら、心の奥底で、「レシーブは腕が痛いからやりたくない」って思ってて、ドリブルをやって自分をごまかしてるのかもしれませんね。

深層心理で「苦手なこと=やりたくないこと」ってとらえてしまっているために、無意識に自分の弱点から目をそらしているってわけです。なるほど、そういう人には‘細木数子風アドバイス’の方が、喜ばれそうですね。風水なんかもウケそうです。「机の位置を変えてごらん。そうすれば日本史が伸びるよ」って感じです。日本史っぽく陰陽道の方がいいですか。

冗談はそれくらいにして、高校2年生からの質問を紹介します。彼は2年生の段階で日本史のあらましをつかむ講座を受講していました。

<Tさん>
こんにちは!!また質問したいことがあってメール送らせていただきます。レギュラーの授業の範囲ではなくて、学校のテストの範囲で、征韓論の時に大久保とかが起こした、「内治優先論」の意味を知りたいんです。用語集になくて質問させてもらいました!!あと兌換制度の意味も載ってなくて教えて欲しいんですけど。お願いします。

<石黒>
内治優先とは文字通りです。漢字の意味から推測できますね。国内の政治を優先するってことです。日本語の長所を使いこなしてください。また、兌換とは交換と同じような意味です。こういう単語は歴史用語というよりは普通の言葉なので、広辞苑などの国語辞典を引きましょう。

<Tさん>
おはようございます。今、学校の日本史のテストが返ってきて散々な結果でした。今回は初めて危機感を感じ本気でやったつもりなんですが、まったく歯が立たず、いつもと変わらない点数なのには、悔しくて仕方ありません。学校と言えど、改めて日本史の難しさを現実的に知りました。先生の著書(読むだけ日本史:近現代=五箇条の御誓文から産業革命までテスト範囲)を読みながら、ノートを見て勉強してたのに、点数を取れなかったということは、やり方が悪かったに違いないと感じているのですが、それがどういう原因か分からないのです。そしてこのままの勉強法(声出して読んで、ノートを見る勉強法)でいいのか?と疑問に思ってしまいました。先生にはちょっとでもいいので、何かアドバイスを頂きたいです。よろしくお願いします。

<石黒>
まず、自分がどういうところをどういう理由で解けなかったのかを、一問一問すべてチェックしてください。やり方は次のとおりです。

(1) 間違えたところが、ノートや『読むだけ日本史』のどこに書いてあるのかを、すべて見つけ出してください。そこに蛍光マーカーでチェックしてください。ノートを汚すのが嫌なら、後で消せる蛍光マーカーとか、消せる色鉛筆とかを使ってください。2つ3つくらいじゃなくて、必ずすべてチェックしてくださいね。あやふやでカンで正解したところもやった方がいいです。

(2) 間違えた理由を次の(ア)~(オ)に分類してください。
(ア)ノートにあるのに覚えていなかった。
(イ)覚えたけれど思い出せなかった。
(ウ)漢字を思い出せなかった(もしくは間違えた)。
(エ)内容を間違えて理解していた。
(オ)ノートにも『読むだけ日本史』にも書いてなかった。

高2生向けの授業は難しいところを省いていることが多いので、(オ)の場合もあるとは思いますが、ノートには書いていなくても、授業ではしゃべっていたなんてこともよくあります。この綿密な分析をやったところで、自分の学習法をどう改めるべきかが見えてくるでしょう。先日の質問とあわせて考えるとT君は、まだまだ受験日本史というものにどう取り組むべきかが、見えていないと思います。こうした経験をしながら、早めに見極めないと手遅れになるので、要注意してください。

その後のT君の話によれば、ノートの覚えが甘くて、あやふやに覚えていたことが多かったそうです。めんどくさくてもこういう分析をしないかぎり、勉強法は改善されていきません。逆に模試や定期テストの度にこれをくり返して、どんどん効率の良い勉強法に変えていけば、復習の時間はどんどん短くなっていくはずです。いわゆるアタマのいい人というのは、これを天性の勘でこなしてしまうどころか、最初っからジャストミートに習得してしまうようです。それができない凡人の僕たちは、分析しながら模索するしかありません。