解答マチガイがおこる話を書きましたが、今日は具体的にどんなのがあるのか紹介しましょう。まず、問題をみてください。
2013年立教大全学部日程の問題で、江戸初期の貨幣についてこんな空欄問題がありました。あてはまる数字をa~dから1つ選べというものです。
この頃はまだ大量の永楽銭が流通していたため,金1両を永楽銭< >貫文とする交換比率を定め,貨幣流通の混乱を防いだ。
a.1 b.2 c.3 d.4
旺文社の解答はaとなっていましたが、赤本の解答はdでした。本当の正解はaです。赤本がdと答えてしまったのも無理はありません。なぜなら江戸時代の銭貨である寛永通宝は1枚が1文で、金1両=銭4貫文(4000文)と定められていたからです。しかし、だからといって永楽通宝も同じというわけではありませんでした。
旧課程の山川出版の『詳説日本史』にこんな記述があるのです。
「銭貨は近世当初,中国銭である永楽銭がまだ大量に流通しており,永楽銭1貫文=金1両の交換比率に定めて混乱を防ぐにとどまった。」
問題文と見くらべてみると、作問者がこの教科書の文を下敷きにして作問したことまでうかがえますね。ところで、この「永楽銭1貫文=金1両」という情報は覚えておくべきものなのでしょうか。ここまで書いておきながら、身も蓋もないことを言いますが、これはめったに出題されないEランク用語です。つまり覚えません。こんなことを覚える余裕があるなら、10,550個も存在するA~Dランク用語を習得すべきです。大学受験を効率よく乗り切るためには、出題の可能性の高い用語を優先すべきですよね?
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