大学受験で勝つための三大要素(2)

一昨日の続きです。前回の記事を読んでいない方は、まずはそちらからお読みください。

前回触れた「試験場での底力」は、正解を導き出す能力をつけることが前提となります。純粋な解答力を磨くために僕ができることは、「正解までのプロセスを習得してもらう」ことしかありません。他の講師による解説(音声も含む)を読んだり(聴いたり)すると、それができていないことが多いように思います。選択問題では消去法や比較法を使うのが一般的ですよね?でも、語群の中で習得していなければならない用語と、捨ててもかまわない用語の区別がはっきり言えないと、だらだらとした解説になってしまうのです。また、その正解たる用語が、「どういう側面から出されることがあるのか」を、精密な過去問分析からわかっていないと、リード文中のどの部分から正解を導き出すかを、はっきり提示できないのです。最近は慶應大向けの映像教材を作っているせいもあって、いくつも同じ記号の空欄がある時に、どの条件から解答を特定するかが肝心だと思っています。慶應大の商学部や法学部では、最初の空欄では答えがわからない問題が非常に多いのです。

そんなことから、自分で言うのもなんですが、当方は出題率を意識して正解を導き出すプロセスを提示するのが、わりとうまくできているんじゃないか、と思っています。そもそも、演習(問題解説)ではない普段の講義の授業からして、解答力を養えるように心掛けて授業をしているほどです。ただし残念なことに、「受講者側がその重要さに気づいていない」ってことが非常に多いです。今まで日本史を暗記科目だと教わってきたからでしょう。また、過去問を解いておらず、簡単な問題にしか出会ったことがないと、「解答力」の必要性に気づかないことも多いでしょうね。いや、たとえ解いていたとしても、正解できなかった理由を単に「知らなかったから」で片付けてしまっていたら、足りないのは「知識量」だと誤解してしまいます。

問題を解説する際に、解答に至るプロセスを丁寧に書くのは面倒です。非常に回りくどくなりますから。そうすると、プロセスではなく、単に用語の意味を説明するだけの解説になりがちなのです。そこで、講師が直接解説する授業が必要となってくるのです。今撮影している慶應大向けの映像教材はまさにそれです。生授業では夏・冬の講習で行っています。ワセヨビの「早慶難関大の日本史」と河合塾の「早慶大日本史」です。

それにしても「考えて解く」ということを受講生に提示するには、各用語を覚えるべきか覚えなくて良いかをはっきり取捨選択できることが大前提です。「なんでもかんでも覚える必要なんてない!」「たとえこの用語を覚えたとしても、今後まず出題されないから!」「むしろこっちの用語を覚えておいて、消去法で解くべき!」こうしたことを叫ぶためです。たまに用語集を全部覚えようとする受験生がいますが、そんなことをしていたら、英語がおろそかになりませんか?受験日本史では用語の取捨選択が非常に重要です。「そんなことわかってるよ」と言う受験生がいそうですが、それでもまだ落とし穴がありますよ。きちんとした出題データを持っているわけじゃないのに、「ここは出る」とか「これは出ない」とかを、堂々と言う先生もいるのです。「オレ様の経験からわかってるんだ!」とうそぶくハッタリ先生、ホラ吹き先生です。ちなみに、活字として残る書籍ならハッタリが少ないかというと、そうでもないのが現実です。赤本の解説を読んでいて「難問」となっている用語が、実は意外と出題されている用語だった、なんてことがしばしばあるのです。しかも出題した大学がその赤本の大学だったりすると、目が点になりますけどね。

つい、また話が長くなってしまいました。本題の「試験場での底力」については、また次回お話しします