今日は過去問の質問をいくつか紹介します。
<Mさん>
(前略)今日はまた質問がありメールさせていただきました。立教の観光学部の問題で、大和政権における身分制として氏姓制度があげられる。その説明で正しくないものはどれか。
a、氏は氏上を中心とした擬制的血族集団である
d、連姓の氏は大王家から分かれた氏である。
この二つの選択肢で悩みました。(他の選択肢は合っています)僕はaを選んだのですが、赤本の解答はdでした。しかし、ノートには氏は血縁を中心とした同族集団と書かれています。擬制的な…というのは間違ってると思い、aを選びましたが、この問題はどう判別したらよいのでしょうか?
<石黒>
「擬制的」という言葉の意味と、
ノートの「血縁を中心とした」というのを見くらべると、
どうでしょうか?
一方で、「連姓の氏は大王家から分かれた」を、
正文と考える根拠は何でしょうか?
次の質問は、以下の空欄問題に関するものでした。
高等専門教育機関も国が主導する形でスタートした。……この中には専門芸術家を養成する目的で1880年代後半に創設された( ニ )も含まれている。一方,民間レベルでも高等教育の実施を志向する学校が産声をあげ,20世紀になるとその中から「大学」を名乗ることが認められるところが東京や大阪・京都などで出現した。しかしこうした私立大学は官立の大学とは異なる( ホ )という法律に基づいて設置されており,卒業生に学士号を授与することはできなかった。こうした格差が解消されるのは,1918年における大学令の制定によってである。
問D 空欄ニにあてはまる学校の名称を1つ記せ。
問E 空欄ホにあてはまる語句を記せ。
<Tさん>
(前略)今日は赤本やってて疑問に思ったことを質問させていただきます。早稲田商学部2005大問6のDとEなんですけどDについては空欄の前の文に官立があったのであたしは工部美術学校にしました。そのあとに文化史プリント見たら時期が違うから工部美術学校が答えではないのは確かなんですけど、なんで東京美術学校なんでしょうか?東京美術学校は官立なんですか?あと専門学校令がひろうべき単語ですか?回答お願いします。
<石黒>
東京美術学校はのちに東京芸大になることからわかるとおり、
もちろん官立です。
専門学校令は、問題文の文脈と、
大学令で私立大学が公認されたことと、
早稲田の元の名前である「東京専門学校」という点などから、
推測で解けた人はいるでしょうね。
<Hさん>
(前略)早稲田文化構想のサンプル問題で1つ質問があります。宗教についてのテーマ問題です。“江戸幕府は、寺請制度をつくり、個人ごとに寺院の檀徒であることを証明した記録を作成させた。”とあって、個人~記録が下線、その下線を何というか。という問題でした。私は“寺請証文”としたのですが、赤本の答えは“宗門改帳”でした。個人の証明であれば“寺請証文”じゃないかなと思ったのですが、この2つの違いってどういうところにあるのですか?
<石黒>
「寺請証文」はノートにあるとおり「身分証明書」で、
旅行などの際に寺院が発行したもので、各自が持ち歩くものです。
一方、宗門改帳は「帳簿」です。
そして設問文で問われているのは「記録」ですから、
宗門改帳が正解です。
「個人ごとに」という言葉につられて、
脳内変換して読み違えてしまったのではありませんか?
<Hさん>
なるほど! 完全に単語に飛びついてました。そういうところをきちんと解かなきゃだめですね… ありがとうございました。
これこそ昨日も出てきた、
「早とちり」や「思い込み」が招く失点ですね。
まぎらわしい用語で区別が必要なものは、
くっきりさせておかなければなりません。
ただし、なんでもかんでも区別が必要というわけでもないのです。
わしづかんで覚えていれば、それで解答できてしまう場合も多く、
こだわりすぎて時間がかかってしまうのももったいないのです。
出題データがなければ、到底見極められませんよね。