偏差値70後半でもアブナイ!?(2)

昨日の続きです。

<Mさん>
ありがとうございました。正直早稲田舐めてました。できるところは余裕があっても、年代など細かいところに穴があって、先生のおっしゃるとおりムラがありました。早稲田の文学部だけでなく、教育や文化構想なども受けたいと思っているので、9割、いや10割取れるように頑張ります。そうですか…出題率で授業するのはすごいことなんですね。これからは△△先生の◎◎使ってる人を笑いながら、勉強させていただきます。史料の勉強については少し考えます。まず学校の史料集なども使いながら、ダメだったら先生の購入します。長々ありがとうございました。また質問があったら、させて下さい。

高校生は無邪気でいいですね。
皮肉に聞こえてしまったらすみません。
早稲田の問題を分析している立場から言えば、
模試の偏差値が70後半であっても何も安心できないのです。
肝心なのは過去問の正解率ですから。
いくらなんでも56%はまずいです。
たとえ安定的に8割取れたとしても、
本番で緊張するタイプだったらアウトかもしれないのです。
本番に強くない人には、過去問では8割5分取ってほしいです。
ちなみに、卒業生から入試問題をいただいているので、
そのうち早稲田文学部に合格した人の正解率だけを紹介しましょう。

Aさん 2009年度入試 80.4%
Bさん 2008年度入試 84.4%
Cさん 2008年度入試 73.3%
Dさん 2007年度入試 100.0%

と、こんな具合です。
彼に正解率を聞いたのは、
確かに日本史オタクにはスゴイ人がいるからです。
出題率なんて気にしなくてもなんでも覚えてしまえて、
それゆえ過去問で9割取れてしまう人です。
そんな人だったら、どんな参考書を使っても大丈夫なわけですよ。

そういう日本史オタクの延長線で日本史の先生になった場合は、
出題データを取るなんて面倒なことはしないでしょう。
だって、日本史そのものを研究するのが好きなのですから。
問題を解くことが好きなわけじゃないのですよ。
もしかしたらデータを取るという行為が理系的で、
肌に合わないのかもしれません。
ところが僕の場合は、日本史が好きというより、
データを取ったり、まとめたり、
記憶法を考えたり、教え方を考えたり、
はたまた本を作ったりするのが好きなのです。
実際、大学受験の二次試験でも、
英国数から2教科を選択して受験したのですが、
その科目は国語と数学でした。
文系数学レベルなら、自分のなかでは得意な科目だったのです。

そんな昔話はどうでもいいのですが、
今現在は、データを取れば取るほど、世に出回る参考書の内容が、
入試に直結していないことがわかります。
まあ無垢な受験生は気づかず、
「これだけで大丈夫!」って言い切る本に飛びつくわけですが……。
ほかにも高卒生などから、
「これ、去年受けていた○○先生のノートです」なんて言って、
有名な先生の授業ノートやテキストを見せられるのですが、
これまた「おいおい、これは出ないだろー」って話になるのです。
もちろんその逆に「なんで、コレやらないの?」なんて、
おいしいネタもたくさんありますよ。
ちょっと驚いたのは、そんな話をおりまぜて通年授業をしているのに、
M君がまだ出題データの価値に気づいていなかったことです。
そういう意味でも、
模試の偏差値だけで安心できる無邪気さがうらやましいです。
まったく無鉄砲さは若さの象徴ですから。
そしてM君には、これでまた「のびしろ」が判明したわけですから、
ぜひともそこを埋めてもらって、
早稲田の過去問も解けるようになってもらいたいものです。