上智で問われた有職故実の時期

どこかの予備校で日本史の授業を受けながらも、
derutoko.com 教材でパワーアップをはかっている受験生がいます。
とりわけ文化史は、通年授業でも扱う時間が取れないことが多いので、
その危険性に気づいている人だけが取り組んでいるようです。

『でる日講義−とことん文化史−』を使ってくださっている方から、
こんな質問メールをいただきました。

<Yさん>
4月からとことん文化史を利用している河合塾のYです。問題演習の授業の中で、有職故実が鎌倉時代に発達していったという正誤問題があったのですが、とことん文化の中では源高明の西宮記が平安時代にあるのですが、そもそも西宮記を有職故実と認識して良いのでしょうか?その授業の担当の先生は儀式書として覚えろと言ってました。石黒先生も儀式についてだと映像教材の中でおっしゃっていたのでそこには疑問点はないのですが、西宮記を有職故実として認識していいのかを教えて下さい。お忙しい中、申し訳ないですが、よろしくお願いいたします。

<石黒>
大丈夫です。
たしかに『西宮記』は儀式書と説明されることの方が多いのですが、
あまりそこにこだわる必要はありません。
広い意味での有職故実の書だと考えておいて大丈夫です。
一方、有職故実がさかんになったのは鎌倉時代です。
過ぎ去ったよき時代を懐かしんで尊重する気持ちが、
貴族の間に高まったからです。
そして、1997年の上智大の正誤問題では、有職故実について、
次の文を正文として選ばせる正誤問題が出題されました。
「公家では平安中期、武家では室町以降に行われるようになった学問である。」
日本史のできごとは、
「始まった時期」と「さかんになった時期」が異なり、
その両方を覚えていなければならない場合があります。
たいていは始まりを優先してとらえておいて、
「たぶんその後さかんになったんだろうなあ」
と考えて問題を解くのが良いでしょう。
Y君が見た正誤問題も、
そういう感覚であたれば正解できるのではないでしょうか。

<Yさん>
返信ありがとうございます。僕が知りたかった事に加えて的確な情報をいただけてスッキリしましたし、メールで質問して良かったです!始まった時期と盛んになった時期を石黒先生がおっしゃった覚え方で記憶に残す必要性がよくわかりました。有職故実以外の事柄でも暗記する必要があるものを習得出来るようにしていきたいと思います。お忙しい中ありがとうございました。

そういえば昨日の記事のXさんも、あの後、
「文化史はなにかと軽視しがちですが、
 (周りの人を見ても文化史を甘く見てる人が結構多いです。)
 そうならないように気をつけます。」
と返信をくれました。
自分の弱点を意識して、弱いところを優先して成績を上げるのが、
合格への近道です。
教科書を読んでいるだけじゃわからないのはもちろん、
授業を受けているだけでも、どこが弱いかはわかりませんよ。
先日も、マーク模試ではかなり高得点が取れているのに、
中央大の赤本を解いたら正解率が5割だった、という人がいました。
気づくのが11月だったら、もう間に合わないところでしょうね。