一昨日の上智の史料問題の話の続きです。
2005年の上智大で、こんな史料問題が出されました。
問 次にあげる史料a~eともっとも関係の深い事柄について記しているものを前の文章(A)~(I)の中から選びなさい。ただし該当するものがない場合は×欄を選びなさい。
(編注:前の文章を挙げるのは大変なので、ここでは各史料が何について書かれたものかを考えてください。)
a.武家の人への御はからひのためはかりに候。これによりて,京都の御沙汰,律令のおきて,聊もあらたまるへきにあらす候。
b.入眼の条珍重に候。三種神器帰座あるべきの上は御譲国の儀たるべきの旨,其の意を得候。自今以後,(中略)御流相代々御譲位治定せしめ候ひ畢ぬ。
c.能々思案を廻すに,今度の乱は併て仏法・王法・公家滅亡の基也。(中略)近来諸大名諸国々人等武威の号を以て,寺社本所領等,雅意に任せて押領す。
d.ナンデウ朝家ノ事ヲノミ身グルシク思ゾ,タダ坂東ニカクテアランニ,誰カハ引ハタラカン
e.六波羅殿の御一家の君達といひてしかば,花族も栄耀も面をむかへ肩をならぶる人なし。(中略)此の一門にあらざむ人は皆人非人なるべし。
この先に解答・解説がありますので、解いてからごらんください。
ワンフレーズ史料問題ですね。
aは簡単です。「泰時消息文」とよばれるもので、
貞永式目について、泰時が弟の重時に書き送った手紙です。
bは南北朝合体についてのもの。これもラクですね。
cはちょっと難しいですが、応仁の乱についての史料です。
うーん、ヒントはどこなんでしょうねえ。
dは難問です。源頼朝についてのものでした。
消去法が使えないというのがイタイですね。
eはもちろん平氏政権についてです。
さて、もう一問紹介します。、
今度は2007年の上智大の問題です。
問 次の史料を読んで以下の問に答えなさい。
能々思案を廻すに,(1)[今度の乱]は併て仏法・王法・公家滅亡の基也。(中略)近来諸大名諸国( 2 )等武威の号を以て,寺社本所領等,雅意に任せて押領す。私を本と為し,公儀を軽じ奉る。尾籠緩怠中々是非無き次第,只畜生の如き也。
(編注:[]で囲った部分に下線が施されています)
(1)これはどの乱のことか。
(2)空欄( 2 )に相当するもっとも適切な語句は何か。
これ、さっき見た史料ですね。
というわけで、(1)は応仁の乱。
(2)は国人となるのです。
実はさらに問題がついていました。
この史料の内容にもっとも関係の深い事柄を選ばせるものです。
正解は「荘園制の解体」だったわけですが、
解けそうでしょうか?
とりあえず、(1)ができなかったら全滅しますね。
この2つの問題は学部は違えどわずか2年後の出題なので、
できれば正解したいと思いませんか?
上智ではこうした「正解したい問題」がたくさんあります。
それがどれなのかは、なかなか見極められないでしょう。
なぜなら単に過去問を解いていくだけでは、
出題がかぶっていることに気づきにくいからです。
かといって綿密に出題記録を取っていたら時間のムダです。
いや、そもそも過去問を入手すること自体が困難になってます。
そうした状況を見渡すと、出題データを蓄積している僕が、
上智大日本史のエッセンスをカタチにする意義は、
十分あると思ったのです。
こうしてできたのが『上智CM』です。
ですから、赤本をパラパラめくって作っただけの、
付け焼き刃的な教材ではありません。
上智大日本史の対策が遅れている人はもちろん、
さらなる極みを目指すハイレベルな受験生にも、
価値のある教材だと自負しています。
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