河合塾の春期講習では、4日間で講義と問題の解説をしながら、
受験日本史の世界を説明するものでした。
講義の部分では、教科書からだけでは、
各歴史事項の出題ポイントがとらえにくいことを伝えました。
しかもテキストにはそれを示す問題もついていたので、
よく実感できたかと思います。
ただし、解説中は入試の不条理さにむくれる人がちらほらいました。
どういうことかと言うと、
たとえば、受験日本史ではこんなことが普通にあるのです。
(1)同じ歴史事項でも作問者によって解釈が違う。
(2)教科書・辞書・用語集で説明が違う。
(3)歴史事実がそのまま入試問題に出るわけではない。
教科書なり用語集なり問題集なりを1冊完璧に仕上げれば、
それでイイと思っている人には衝撃でしょう。
「じゃあ一体何を勉強すりゃいいんだよ!」って、
言いたくなりますよね?
でもこれが現実なんですよ。
たとえば電子辞書の説明が、入試でよく出される解釈と、
違っていることがしばしばあります。
用語集の漢字とは違って略字で書かれていることも多いです。
授業中に黒板の字が見えないからと言って、
電子辞書で調べるなんてノートの誤字を増やすばかりです。
もっとも、講習中にそれを伝えても、
まだ電子辞書を見ていた人がいましたから、
これまたなかなか納得してもらえないことのようです……。
というわけで、受験日本史の習得は、
カンタンに一筋縄でいけるわけではないということです。
「えー簡単だよ」と言える人がいたら、その人は本当に頭が良いか、
もしくはラクに解ける問題ばかりを見てきたかのどちらかでしょう。
普通のアタマの人が、問題をたくさん解いていくと、
「こう覚えれば解けると思っていたら、
今度は違う側面が出されて解けなかった!」
なんて壁にぶつかることがしょっちゅう起こるはずです。
僕の場合は、どう出題されたかをいちいちパソコンに記録しているので、
「うわっ、違う側面が出ちゃった。またデータ件数増えちゃうよー」
という具合に、そうした壁をいやと言うほどよくわかっているのです。
「この用語はこう出題される!」なんて単純に言い切ることは、
そうやすやすとはできないものなんですよ。
そういえばこの話は、ここでもしましたね。
それでもラクに合格したいのが受験生です。
カンタンな学習法に幻想を抱いて、飛びついてしまうようです。
ぶっちゃけてしまえば、
「そこにつけ込めば集客できる」ってことでもあるんですけどね。
集客力や参考書の売り上げ部数しか考えないとしたら、
講師や出版社や予備校が‘カンタンさ’を売り物にするのは当然です。
もっとも、ウソ偽りはストレスになるし、
予備校は予備校で、レベルの低い人ばかり集まってしまって、
成績を飛躍的に伸ばすのが一苦労になりますけどね。
受験日本史に真っ正面からぶつかってみる気はありませんか?