卒業生のIさんからこんなメールをいただきました。
筆記用具についてちょっと伝えたいことがあってメールしました。読むだけ日本史や他の教材に使えることだと思いますが、ただ読んで頭の中に入れるぞ~と黙読したってたいていの人はなかなか入らないと思います。読む時には自分に対して「ちゃんと理解してるか?理解した気になってないか?」とツッコミを入れるのが吉です。そこで必要なのは無印のピンクのボールペンです。無印のピンクは教材に付属の赤い暗記シートと相性が良くて、重ねると少しも浮いて見えることなく完全に消えます。それを利用して、例えば西暦年代の近くに自分なりのゴロを書いてみたり、ピンク以外の好きな色で文章の近くに「インフレになると誰が得か、説明せよ」とか書いてピンクで解答を書いておけば赤シートを重ねた時に一人ツッコミができちゃいます。あと、赤シートで消える単語のうち「もういいよ、惰性で答え言えちゃうよ」ってものと「いつもなんか間違えちゃう」ものがあると思うのですが、間違えちゃうほうの単語にピンク以外の色でアンダーラインを引いておけばそこだけすぐに復習できて効率が少しあがるかもしれません。…たいしたネタじゃなくて申し訳ないのですが、売ってる暗記用のペンって高いし筆箱に入りにくかったりシートを重ねても見えちゃったりするので困るよねーと話す友達が意外にいたので、もし今頑張っている子達もそんな風に思っていたら少しは役に立つかな?と思ってメールしました。
僕自身は「赤シートチェック勉強」をしたことがないのですが、『読むだけ日本史』を始め、自分の参考書・問題集では多用しています。ただ、その一方で、こうも思っています。「入試では必ずしもこの言い回しで出題されるわけじゃないよ」と。なので、『読むだけ日本史』にせよ、『受験生が本当にほしかった問題集』にせよ、単純にその赤字が答えられるようになるだけでは、まだまだなのです。その歴史用語について深い理解ができていなければならないのです。
同じことが問題集についても言えます。時々、日本史の学習法を説いているサイトや掲示板がありますが、△△先生の書いてる「○×○×」って問題集を最低3回はくり返しやる!なーんてことが書いてあるのを見ると、「同じ問題集をくり返しやるなんて自己満足だろ?」って思います。問題が解けなかったのは、なぜなのかと考えると、そのことを学習したことがないか、学習したはずなのに覚えていないかのどちらかのはずです。ならば、自分の学習のモトである40面ノートに戻るべきです。そして、次の1・2のどちらかをすべきでしょう。
1 問われた内容がノートにない → 書き足す。
2 問われた内容がノートにある → 自分の頭をたたく。
冗談です。2の場合は覚え直すマークをつけましょう(ポストイットなどでも可)。解けなかった問題を、もう一回やり直すなんてのは、「その問題さえできるようになればいい」という甘い考え、いわば「逃げ」です。実際は、できなかった内容の周辺を、きちんと覚えきれていないのですから。
そう考えると、上のIさんのメールにある、「参考書や問題集にピンクペンで書き込む」というのは、僕の通年授業を受けている生徒には、あまりお勧めするやり方ではありません。40面ノートを覚えることに全精力をつぎ込むべきだからです。ただし、授業を受講してなくて参考書を「学習のモト」としている人の場合は、このやり方がいいかもしれません。また、40面ノートとともにやらなきゃいけない史料の勉強には、ピンクペンは有効です。『どこでも史料問題』や早稲田予備校の史料のテキストに、自分で史料集を読んで得た知識を書き込めば、読解力がアップするでしょう。
天才とバカは脳みそは違っても、時間だけはひとしく平等にあたえられています。それならバカな僕は、可能なかぎり時間をかけて入試問題分析や教材作成をやり、「少しでも天才講師に追いついてやろう!」と思うのです。しかし、裏を返せば、誰にでも同じだけの時間しかあたえられていないのだから、効率よく要領よく事を為した人の方が、より高いところに行けるわけです。だから僕は、テレビを見ず、睡眠を削り、家から駅まで走ったり、歩きながらコンビニおにぎりを食べたりして、時間を作り出す一方で、作業効率や要領の良さというのも、常に意識しているのです。
自分の勉強法がいいかどうかは、常に客観的な視点でチェックすべきです。