消去法で解く問題に、独学受験生は気づかない!(上)

今日のエントリーは前回の問題の解答・解説なので、
前回を読んでいない人は、先にこちらから読むといいと思います。

というわけで、答えは…


正解は、イ。

消去法で解く問題です。

ア 「漢字の音を借りて」表記するのは、
『万葉集』以前からやってることですよね?
稲荷山古墳出土鉄剣の「ワカタケル」が漢字で書かれていたことや、
『古事記』が万葉仮名で書かれていたことを学習していれば、
気づくはずです。
ただし、これらは史料問題や文化史を詳しく勉強していないと、
難しく感じるでしょう。
そこで、『どこでも史料問題』『でる日講義』ですよ!

ウ これはカンタン。伊勢神宮ではなく宇佐八幡宮(神社)。

エ ここが勝負どころでしょう。
山上憶良の「貧窮問答歌」は史料でチェックしていますか?
その一部を紹介します。
楚(しもと)取る 五十戸良が声は 寝(ね)屋(や)処(ど)まで 来(き)立(た)ち呼ばひぬ 斯(か)くばかり 術(すべ)無きものか 世(よの)間(なか)の道
「五十戸良」は「さとおさ」すなわち「里長」のことで、
この農民を、大声で呼んでいるところを歌っているんです。
この「五十戸良」は、1999年に法政大が空欄穴埋めで出題し、
2003年には立教大がこの部分から、作者を記述させていました。
『どこでも史料問題』には掲載されていないCランク史料ですが、
出題カウントが高まっているため、
今度出る史料の新教材には掲載されています。
そうなんです。これは一種のワンフレーズ史料判別問題なんですよ!
史料が直接出されているわけじゃないけど、
「貧窮問答歌」の話だと気づけば、誤文だとわかるんです。
要するに、「漢詩」ではなく「和歌」。
そして、『懐風藻』ではなく『万葉集』ってわけです。

オ 『日本霊異記』は仏教説話集です。現存最古の説話集ですね。
一見マイナーに見えますが、実はAランク用語です。
何文化に属するかはわかりますか? 即答する必要がありますよ。

というわけで、思わぬところで史料の勉強が役立つんですよ。
このことに気づいてない受験生は多いんです。
史料問題について、生授業を受けていない人は、
ぜひ、『どこでも史料問題』や、今度の新教材をお使いください。
新教材の方では、その史料のエッセンスをしゃべり解説しています。

さて、次回は、いよいよ早慶大オープンについてお話します。